STORY

丘のうえのふたりのひつじ

丘のうえのふたりのひつじ

丘のうえで、ふたりのひつじが草を食んでいました。   ひとりは、軽くしなやかな毛をまとい、 もうひとりは、厚みのあるあたたかな毛をまとっていました。   厚い毛のひつじが言いました。 「きみの毛、風が気持ちよさそうだね。」   軽い毛のひつじが答えました。 「きみの毛は、風の音を抱えているみたいだね。」   その日は陽射しが強く、丘の石がじりじりと熱を帯びていました。 ふたりはそれぞれの歩幅で、草を食み、影を探し、また歩きました。   夜になると、空気は澄んで、星がひとつずつ顔を出しました。   軽い毛のひつじが言いました。 「夜も、ちゃんとぬくいね。」   厚い毛のひつじが、小さな声で答えました。 「うん。風も、やさしいよ。」   ふたりは、丘の上で並びながら、 それぞれの毛を、夜の風にまかせました。   しばらく黙っていたあと、 軽い毛のひつじがぽつりと言いました。   「どちらの風も、ちゃんと似合ってるね。」  ...

丘のうえのふたりのひつじ

丘のうえで、ふたりのひつじが草を食んでいました。   ひとりは、軽くしなやかな毛をまとい、 もうひとりは、厚みのあるあたたかな毛をまとっていました。   厚い毛のひつじが言いました。 「きみの毛、風が気持ちよさそうだね。」   軽い毛のひつじが答えました...

/ Artists in tune with nature  —  001.

/ Artists in tune with nature — 001.

"Observing Eye" / Sanna Kannisto Sanna Kannistoはフィンランド出身のアーティスト。熱帯雨林や湖畔に、真っ白なボックスでできた小さなスタジオを設置し、そのステージのなかで野鳥を撮影する。 あらかじめその土地で拾った枝や木の実をステージに立てておくと、自然と鳥が留まり、箱の中には穏やかで自然な時間が流れる。 彼女はインタビューの中でこう話している。 "鳥の視線は.私の写真における重要な要素です。私が鳥を見て、鳥が私を見る。同時に観察し合うその瞬間が、多くの作品から見て取れると思います。 作品を撮っているときは彼らとコラボレーションしている感覚です。完成した作品からは、撮影時に流れる凛とした空気と同じものを感じられるのです。 一方で、その瞬間彼らが何を考えているのか、なぜこんなにも惹かれるのかは、まだわかりません。いまもこれからも、それを探しています。" 一見すると博物館の標本のようにも見えるが、そこには紛れもなく命の力が宿っている。 "Observing Eye"は、彼女が野鳥を撮影した写真が贅沢にまとめられた作品集。野鳥の目に見つめられる感覚をぜひ味わってみてほしい。   ====== / Artists in tune with nature自然と一体となり、その流れや感覚に寄り添いながら作品を生み出すアーティストを、ROBINの目線で紹介していきます。 ======  

/ Artists in tune with nature — 001.

"Observing Eye" / Sanna Kannisto Sanna Kannistoはフィンランド出身のアーティスト。熱帯雨林や湖畔に、真っ白なボックスでできた小さなスタジオを設置し、そのステージのなかで野鳥を撮影する。 あらかじめその土地で拾...